ゴールベースアプローチ
資産運用において、ここ数年「ゴールベースアプローチ」という言葉を耳にするようになった。金融アドバイスの新しい形であるが、具体的にはどのようなものなのだろうか。
ゴールベースアプローチとは
資産運用の目的はむやみやたらと資産を増やすことではなく、最終目標(ゴール)を定め、そこから逆算して資産形成を考えていく。教育資金や住宅ローン、老後資金がいつ必要で、そのためには何年でどのくらいの金額を用意したらいいのか。こうしたゴールを先に決めてそのための資産運用を行っていくのがゴールベースアプローチである。
アドバイザーは相手の状況や将来目指すところをヒアリングし、ゴールを整理共有し、それに対してどのようなサポートができるのかを提示する。そして、10年、20年間継続的にサポートし、投資成績ではなくゴールの達成確率の変化に基づいて、運用手法の見直しを行っていく。
こうした顧客の人生の目標に寄り添う金融アドバイスビジネスは、金融機関ではこれまでほとんど行われてこなかった。
大手金融機関のアドバイスの段階的変化
金融機関のアドバイスはどのように変化していくのだろうか、段階をおって説明する。
第一段階
「投資商品の販売」のアドバイスだ。いかにユニークかつ優れた商品で、このくらいの利回りが期待できるという特徴をアピールし、モノを売るための営業話法である。
第二段階
顧客にいくらまで投資できるかをヒアリングし、その範囲内で適切なポートフォリオを提案する。
第三段階
顧客の資産状況をヒアリングし、ライフプランシミュレーションを行い、顧客が望むライフスタイルにおいて老後までの資金が不足しないための資産運用を提案する。また、人生のイベントや将来の目標は絶えず変化するため、その都度見直しを行う。(これがいわゆるゴールベースアプローチである)
第四段階
端的に言うと顧客の人生相談である。第三段階のライフプランを作成した上で、今後想定される負のライフイベント(離婚、離職、事故、相続争いなど)の際の家族間の意向調整にまで踏み込んだコンサルティングを行う。
この場合の提案には、金銭面ばかりでなく、法的、同義的な対応も必要となる。
(既にファイナンシャルプランナーは第三段階まではライフプラン表を作成し顧客に提案しているわけで、今更ゴールベースアプローチと言われても目新しくもない。場合によっては第四段階のアプローチさえ行っている。ただ、ファイナンシャルプランナーは詳細な金融商品の知識が不足していることが弱点である。)
ゴールベースアプローチで自身の資産を見直してみよう
投資ブームが到来しているが、自分の資産の把握をしている人は少ないように思う。把握していてもとにかく増やすことだけを考えている人も多いであろう。そういう意味ではゴールベースアプローチという考えが広まるのは悪いことではない。
そのためにF A(ファイナンシャルアドバイザー)に相談することをお勧めするが、アドバイザーと信頼関係を結べるまでは自身の家計の情報を開示することは慎重に行うべきである。特に商品を販売する金融機関のアドバイザーにとっては絶好の情報源となるのだ。
手前味噌ではあるが、むしろ販売する商品のないF P(ファイナンシャルプランナー )にまずは相談することをお勧めする。