経済的なことで子供を諦めていませんか
日本の少子化に歯止めがかからない。2019年の合計特殊出生率は1.34で現状の人口を維持するための2.07にはほど遠い。昨年のコロナの影響で出生数は約84万人と5年連続過去最小を更新した。日本の人口減少を止めるには、どのような対策をすれば良いのだろうか。
日本の少子化の現状
平成2年に「1.57ショック」と言われてから日本の少子化対策が始まり、既に30年もの間、取り組みが行われている。
保育所や不妊専門相談センターの整備等に具体的数値目標を設定し、様々な対策を行なってきたが、合計特殊出生率は2005年の最低1.25から多少回復したものの依然として低い値で推移している。
合計特殊出生率には地域差があり、最も高い沖縄県では1.86、東京では最低の1.13である。

なぜ日本は少子化が止まらないのか
少子化が止まらない原因として次の2つが考えられる。
1 お金がかかる
子供一人の教育費はどのくらいかかるのだろうか。文部科学省が平成28、29年度に行った学費の調査から推計すると、幼稚園から大学まで全て公立の場合でも約1000万円、全て私立コースだと約2000万かかるとされている。
幼児教育・保育の無償化、高校無償化、大学無償化と徐々に無償化の範囲は拡大されつつあるが、親の所得制限があり、補助対象が学校教育費の中の授業料に限られている。(修学旅行費や学用品、制服代は対象ではない)更に学習塾や習い事代の費用が別途にかかる。
2 手間がかかる
東京都の核家族の世帯割合は93.4%となっている。(平成22年国勢調査)実質賃金は1997年をピークに下がり続けているため、共働きが当たり前となり、待機児童が溢れている。
地域で育てるという過去の風習は、共同体が形成されていない都会においてはほぼ見られなくなった。
フランスのとった政策
少子化対策が成功した国として、フランスが取り上げられる。フランスでは公的補助金と、育児支援サービスの提供が充実している。
家族に対しては、児童手当や育児休業給付があり、また就労に関しても教育訓練給付、雇用調整助成金、失業関係給付など、社会給付が手厚い。
在宅での保育サービスを提供する「保育ママ」が有名であるが、利用者が保育ママを雇用し、その賃金や社会保険料を負担する。この費用に対しても一定額が補助されている。
このように若い現役世代が、安心して働き、子を育て、必要に応じて休むことを保障する社会システムが構築されている。
少子化対策に必要な政策
菅首相は不妊治療の補助を打ち出した。しかし、費用対コストを考えると合計特殊出生率を上げる効果は限定的である。
海外で成功した事例は国内で参考とすべきである。(これはコロナ対策も同様)
よって上記に記載した少子化の原因を解消する方法として、安易ではあるが以下の2点が必要と結論付ける。
・子育ての費用にお金がかからないようにすること(補助金の充実、更なる教育費の無償化など)
・母親以外の者が育児に参加ができるような環境を整えること(男性の育児休暇の促進、第三者による育児体制の整備)