遺言がないために国に相続財産を持っていかれるケースが増えています

現状

最近Yahooニュースで見た話。財産を残して死亡したものの相続人がおらず、換金の末に国が引き取った遺産の額が平成30年度は603億円に達し、わずか4年の短期間で約1・4倍に急増しているとのこと。

相続人が存在しない遺産については、行政機関などの申し立てを受け、家庭裁判所が選任する相続財産管理人が整理。法定相続人のほか、内縁の妻や、介護を続けた「特別縁故者」がいないことを改めて確認し、不動産などは現金化した上で国庫に入れる。

こういう犯罪まで起きた

遺言書があれば法定相続人以外でも相続は可能である。しかし「いとこ」は法定相続人になれない。そこでそのいとこは弁護士に頼み「(故人の)全財産をいとこに包括遺贈する」とした文案を偽造。しかしその後偽造が発覚し、弁護士は有印私文書偽造の疑いで有罪判決を受けた。

時代背景

相続人がいないのは、単身世帯が増えているためである。晩婚化進み子供のいない未婚者が増え、配偶者のいない離婚者が増え、少子化が進み兄弟のいない人が増えた現実がある。

今後も孤独な人が増えていく。しかし、その孤独な人たちの中にも財産を国に持っていかれるくらいなら有効な使い方をしたい人は多いと思う。

相続財産があるならば遺言は必須

相続対策は、財産のある人が相続税対策をするものと考えがちだが、今回の600億円の中には相続税のかからないケースの方が圧倒的に多い。

極論を言えば、生活保護受給者に残された財産についても本ケースに該当すると考えられる。当該者が受給後に多少の蓄えを残して死亡した場合、アパートの荷物の移設費を除いて余りがあればそれは国庫に納められる。

遺贈の場合、基礎控除の3000万円以下であれば相続税はかからないが、遺言を残しておかなければ故人の意志に反してそのまま国庫に納められてしまう。

まとめ

相続人がいない場合は、財産の多少にかかわらず遺言でお世話になった人に遺贈、もしくは慈善団体に寄付を考えましょう。(お金以外の寄付の場合、寄付を受ける側が受け取れない場合がありますので、事前に確認しておきましょう)

遺言は大切

・相続人が複数いるなら争いが起きないように遺言

・相続人が一人の場合でその人に相続させたくないなら2分の1の遺留分(兄弟は遺留分無し)を除いて遺言

・相続人がいなければ自分の意思で財産の使い道を決めるために遺言