世界に遅れる日本のキャッシュレス社会

キャッシュレス社会が進んだことにより、最近の小学生は「おつり」という言葉を知らない子も多いらしい。日本は他の先進国と比較し、キャッシュレス化が遅れている。

海外と日本のキャッシュレス化はどのくらい差が開いていて、今後日本はどのようにキャッシュレス化を進めていくべきであろうか。

筆者のキャッシュレス化

筆者は圧倒的に現金派であった。

中国人の友人が、「日本は現金しか使えないところがあって不便だ」というので、カードだと「知らないうちに使いすぎる」と反論したところ、「利用記録を管理するアプリがあるので使い過ぎない」と重ねるので、「履歴で個人情報が残るのが嫌だ」と更に反論しておいた。

しかしコロナ禍において、現金を持ち歩かずに特に非接触型の支払いができるのは衛生的で安心、小銭でお釣りをもらった時にも収納に困らない、経費の記録に便利などの理由で、遅ればせながら少しずつキャッシュレス化に取り組んでいる。

キャッシュレス決済の手段

キャッシュレス決済は、主に3つに分類することができる。

1)クレジットカード:ポストペイ型(後払い型)

2)電子マネー:Suicaなどの交通カード系やコンビニ、スーパー発行の電子マネーカード。多くがプリペイド型(先払い型)。

3)スマートフォン決済:QRコードやNFCを利用して決済するもの。プリペイド、ポストペイ、リアルタイム決済など様々なタイプがある。○○PAYなど

既に多くの人が1)と2)は利用していると思う。3)の普及でキャッシュレス社会が一気に意識されるようになった。3)の利用にはスマホ端末が必須になるが、スマホの普及率も2020年、50代で約9割である。そして、スマートフォン決済の利用率は20代で約5割、50代で約3割である。

(まだ利用していない方も難しくないのでスマホ決済に挑戦してみて欲しい)

これらのキャッシュレス手段を利用してもなお現金が必要な場面として、例えば端末機器を導入していない店舗や神社仏閣のお賽銭などがある。 

世界最先端のキャッシュレス国家スウェーデン

スウェーデンは世界の中で最もキャッシュレス化が進んでいる国の一つである。銀行は現金をほぼ受け付けない、「現金お断り」の飲食店が多い、教会の献金もキャッシュレス化で行えるという。銀行6行で共同開発したSwishというアプリがあり、店舗や公共料金の支払い、電子商取引での代金支払い、個人間送金のサービスなど、国民の8割以上が利用している。

名目G D Pに対する現金流通高は日本が約21%なのに対し、スエーデンは約1%、2009年から2019年の10年間の現金の流通量は日本は約40%増えているのに対しスエーデンは逆に約40%減っている。

このようにキャッシュレス社会を推し進めたものの背景として、I T先進国化を進めなければならないという小国の危機感、政府に個人情報が集まることへの信頼性があったという。

またI T化を進めることによるデメリットについても様々な対策を行なっている。I T弱者に対するリカレント教育、カード情報の非接触スキミング対策、また完全に現金が消滅しないよう新法も制定した。

日本のキャッシュレス化の進め方

日本は、スウェーデンのように加速度的にキャッシュレス化が進むのは人口の数、年齢構成、地域偏在などから困難だが、それでもゆっくりと進んでいくであろう。

(偽札対策だと思われるが、そレでも2024年に新札が発行されるのか甚だ疑問である)

デジタル庁が創設されるものの、政府に対する信頼が欠けているため、キャッシュレス化を一気に進めるには便利というだけでは国民の理解が得られないだろう。店側も当面は現金と併用の対応をせざるを得ない。想定外の犯罪対策も検討しておく必要がある。

また、日本は自然災害が多く、停電時には端末の利用できなくなるので、一部現金を保有することは避けられないであろう。

以上、完全なキャッシュレス社会にはまだまだ乗り越えなければならない課題がかなりありそうだ。

・全員がスマホを持ち操作できること

・金を受け取る側が全てキャッシュレス対応の端末を導入すること

・停電時の対策を検討しておくこと

・犯罪に対する安全性が確保されること

・国民がキャッシュレス社会を受け入れること など

しかしこれらの課題を解決する頃には次の新しいテクノロジーで、スマホや端末の普及などと関係のない社会となっているのかもしれない。